1月に入り、12月は10数人居たバイト勢も4人となる。
その内の1人は一度も来ることが無かった。
大学卒業間近を控え、時間を持て余してるという青年だったが
棒立ちばっかでつまんねえとよくぼやいていたのを思い出す。
彼のバックレは正解だった。
結果的にバイトは3人体制となり、1月も半分が過ぎようとしてた頃
3人の内の1人、おばちゃんが来なくなる。
給料関係で揉めた云々を風の噂で聞いたが真相は分からない。
そして俺ともう1人、20代半ばのフリーター計2人がこの日まで残った。
彼はなんというかよく分からない奴で
挨拶等非常に元気が良く、受付に荷物を持ってくる卸業者にも
ザマース!ザマース!と積極的に声を掛けていて、俺も見習いたいくらいだったが
一方で、どこか抜けてる部分も見受けられた。
ある日の事。
卸業者から預かった荷物は、外に停めてあるトラックに積むため
シャッターをガラガラっと開け閉めして行うんだけど
彼がシャッターを閉める時、外に居た社員さんが中に入ろうとした際
脳天にジャストミートしたことがあった。
彼は身長が高くそれでいてバスケのダンク、それもトマホークの如く
叩きつけるようにガラガラッ!!!と激しく閉める癖があった。
ちょっとやばい音というか、うわっというようなその場に居る全員が振り向くような
鈍くて重く大きな音が響き渡ったのは言うまでもない。
幸い社員さんの頭に別条はなかったが
他にも、なんの脈絡もなくいきなり大きな声出したりダンスを踊ったりするといった
奇行を行ない始め、社員達さんも彼怖いんだけど・・・と口にしていたが
話を聞くと、彼は役者を目指しているらしくその影響らしい。
へ~そうなんだと更衣室で2人、最後の作業服の脱ぎ着をしてると
明日出演するイベントがあるから来てくださいよ!と
何やら開場の場所と時間が記載された一枚の紙を渡された。
ここまで残ったよしみ、行くべきなのだろうか・・・。