俺の区域は老人ホームにも新聞を配達していて
そこに禿げ上がった職員がいる。

齢は俺より一回り上っぽいけど、いわゆる‘若ハゲ‘の部類には入ると思う。
この人にいつも新聞を手渡ししているんだが、物凄く腰が低い。
ああ配達いつも有難うございます有難うございますと満面の笑みで
新聞を受け取るので、恐縮してこっちも腰を折るほどだ。

恐縮しつつも、なんでこの人は若くして禿げてしまったというのに
こんなポジティブで礼節正しい姿勢を保っていられるのか
不思議に思う自分がいる。
重い十字架を背負ってるはずなのに、それを感じさせない雰囲気。
この世の不条理を恨む気持ちなどないのか?
思えばタクシー時代にも、結構重いアトピーらしき女性の人が指令室で
働いていたけど、やはり明るく朗らかでおっちゃん達からも人気があった。


ハゲもアトピーも、俺にとって厄介な重石として乗っかっており
気分を暗くさせるものでしかない。
彼らに何か、今後を生きる術の重要なヒントが隠されてる気がしている・・・。
低腰