カテゴリ: 工場

一週間ほど前から`サブ組み立て`という作業を
任せられている。
簡単に言えば俺が色んな部品を組み合わせ、その出来上がった物を
大阪が製品に取り付ける`本組み立て`いう流れ。
これまでゴミ出しや掃除、運搬や片付け等の雑務しか
してなかったが、これが本来俺に課せられる仕事だったようで
臨時社員さんに一週間ほど前から指導を受けてた。

しかし毎日のように組み立てる向きが違ってたり
ネジの種類間違い、バネやヒラの入れ忘れ(ネジと部品の間に入れる)
といったヘマをしでかし大阪にどやされてる。
キミィ!何回言わせんねん!!
クレームもんやで!?下手すると人死ぬで!!?


死・・・。
こういう細々した仕事、向いてない気がするな。

俺が今働いてる工場の持ち場は基本、大阪と俺の2人。
たまに臨時の人が来てたが、ここに来ていよいよやばくなってるようで
新しい社員さん(19歳)を招き入れ技術指導している。
大阪はもう御年55歳だという。引退もそう遠くないので
ゆくゆくは後継者に仕立てるつもりのようだ。

大阪は今日、歯の治療で半日で上がるも
その際、ええか!?午後は19歳君の指示にしっかり従うんやで!
19歳君とキミ(34歳)とでは力量がまったく違うんや。
足引っ張っぱたったら承知せんで、と相変わらず
クソ腹立つ言づてを残し去って行った。


午後。
19歳:nitoさーん、あれたのんます。俺:ハイッ!
19歳:nitoさーん、それもたのんます。俺:了解ですっ!!

今の会社に派遣として入社し、早一月が経とうとしている。
自分がまだ何をすればいいかも分かってないお粗末な状況だが
1つだけ、はっきり分かってる事がある。

この会社、残業時間が半端では無い。
俺は今のところ定時の午後5時で帰ってるが
大阪は毎日午後9時まで残って仕事してるみたいだし
全体的に大体そんな感じだという。

美人さんもかなり残業しているらしく、LINEの文体も荒々しく
なってきている。
彼女は本来、プライベートを優先したいと思っていて
定時で帰ってうへぁいとしてる俺に苛ついてるようだ。
マズイ・・・
某、定時で帰ります


朝。

出勤しドキドキしつつ制服に着替え、持ち場に行くと
いつも通り大阪の姿を確認。


不死鳥の如く舞い戻りやがった。

大阪が半日で早退した。
なんでも歯が縦に真っ二つに割れ、身体の不調も著しいので
午後から歯医者と総合病院をはしごするとの事。

私の祈りは現実へと形を変えたのだった。



マイネームイズ、nito(第三書館発行)
~5章 モーゼ 489ページより~

大阪がウザイ。

キミィッ!その作業教えたで?何回説明させんのや。
ハイ!コレッ!!ハイ!コレッコレコレッ!!!
アンタはこっちやはよせ!

俺の至らないとこもあるし、大阪が超ハードワーキンをしてる
頑張り屋さんだという事も知ってる。
とはいってもさすがに我慢タンクがそろそろ限界に近づいてる。


ほんとこいつ、過労死か何かで死んでくれないかなと
作業中ずっと祈ってる。
そうすれば俺の持ち場は移動、最悪解雇となっても
大阪からは解放されるんだ。

今日から通常出勤で、美人さん少し離れた場所
作業している。

尊大な羞恥心を見抜かれた手前、なるだけ近寄りたくない
接触したくないとビクビクしてたんだが、いつにも増して大阪が

キミッ部品取ってきてや!
キミッもっかい部品取ってきてや!と
美人さんの作業場の脇を通る指示をバンバン出しやがる。

遠回りして美人さんを避ける順路を行こうとすれば
キミッなんやねん!なんでそんな遠回りすんねん。
こっちの道行く方が断然近いやろ!?
オツムが遠いんか!なぁ!?
と千里眼を光らしてくる。


ほんとこいつは・・・。

今日は休日出勤日。
大阪に棚卸しという作業を命じられ、それを黙々とやってた。
この作業場はネジやボルト、製品に使うらしき色々な部品が
多々ある。それらのストック数を一種一種数え記録していく作業だ。

忌々しい関西弁をほとんど聞くことも無く
爽やかに1日が終わった。

今日も休日出勤。

昨日と変わらず大阪は上機嫌だったが
大阪人の特性か、はたまた余裕がありすぎるせいか
一作業毎にペラペラペラペラしゃべり掛けてくる。
作業に慣れてない上、工場ということもあり
周りはうるさく今一何を言ってるのか聞き取れないので
あうそですかあひゃと、ボケも突っ込みもできない
相方に陥っていた。

とりあえず明日から盆休みの4連休だ。
この4日間は頭の中から大阪の存在記憶を
完全に消し去りたい。

昨日は大阪がえらく上機嫌だった。

今の仕事、製品が重いので大阪と一緒に運んだりするんだが
キミッ!しっかり持ちや、なんやねんそのへっぴり腰は!!
とか
製品に取り付ける小部品なんかを組み立てる際に
キミ作業遅すぎるで。キミの作業が終わらんかったら
ボクの組み立て作業ができへんのや!足引っ張らんといてや!!
などその他等等、結構1日中ぼろくそに言われてた。
それが昨日となると、これ重かったやろようやるで自分!
組み立て速くなったで自分!!とまるで人が変わったかのように。
この持ち場、1日の出荷数が決まってるらしく、いつもは残業を
4,5時間やってなんとか捌けるパンパンな出荷数らしいのだが
昨日は出荷数が少なかったので余裕があったそうだ。


口やかましく言うとったけど、これが本来のボクや。
おっ、もう午後5時やないかい帰るで!
いつも9時とか10時に帰るんで感覚が忘れとるわナハハ!!

久々に美人さんとお話しした。

彼女は俺の持ち場から数十メートル離れた
別の持ち場に配属されてる。
大阪からキミッ!部品倉庫から部品取ってこいやと高圧的に命令され
糞がっ!と思いつつ部品倉庫に向かう際は、彼女が一生懸命働いている
姿を何度か目撃していた。

今日も部品倉庫に向かっていたら、彼女の持ち場が手持ち無沙汰だったようで
持ち場の横を通ると話しかけてきた。

お疲れ様です。調子はどうですか?
いやー、上司が糞でほとほと参ってます。
そっかー、大変だね。

などのちょっとした近況を報告しあえた。


じゃあと、再び部品倉庫へと向かったが
足取りが妙に軽く感じた。

大阪はこの工場に入社して26年間、横縦10m×10mくらいの
この狭いスペースの持ち場で変わらず、ひたすら製品を作り続けてるという。

過去2度ほど工場勤務をした経験があるが、いずれも作業手順書みたいな物があった。
それを読みつつ熟練者と一緒に作業をして徐々に工程を覚えていった記憶がある。
が、今回は渡されもせず、どこを探しても見つからないので大阪に
あの~、作業手順書みたいな奴って無いんですかね?と聞くと

ほんなもんあるかい

とキレ気味に返事が返ってきた。

26年1人でやってきたから頭に入っとる。
必要ないんやとの事。いわゆる職人だな。
とはいってもここはでかい工場。
この持ち場も1製品の1部分を扱ってるには過ぎないが
この持ち場での作業が無くては製品にならないのは間違いないし
それでいて結構な製品の種類や技術も相当いると、見てて感じ取れる。

26年1人でやってきて、他に出来る人が居ない・・・。
もし大阪が突然倒れたりして、仕事できなくなったら
この工場はどうなるんだろうと疑問に思いそんな質問をしてみた。


決まっとるがな。終わりやオ・ワ・リ

大阪が荒ぶってた。

俺が今勤めてる工場は結構大規模で
A、B、C、D、E、F、Gといった具合に
チームみたいなものが存在している。
俺はBチームに所属しているんだが、BチームはBチームのみで
工場内の所定の場所に集まり、チームごとに作業長という
上の方々が居るんだがその人を中心に朝礼とかを行っている。
今日はこのBチームの作業長に、同じくBチームの大阪がぶち切れてた。

アカンやろ君!!なあ!!!
右から左に考えなく流しよって自分まったく管理能力無いやないか!!

言葉の猛打を作業長に食らわせまくって
作業長はハィハィ・・・としょんぼりしていた。
この時、大阪に作業長ここの持ち場まで呼んで来いと言われたので
スンマセンちょっと大阪さんが・・・と連れてきたのもあり
なんか共謀者みたいな気分に陥る。
殺したのは大阪だけど、穴に埋めたのは俺みたいな・・・。


まだ勤務5日目なので、諸々の事情は分からないが
色々複雑そうだ。

憩いの日曜は刹那の如く過ぎ去り、労働の月曜へ。

俺の持ち場は社員さん2人+俺という体制なんだが
朝持ち場に行くと社員さんの1人が居なかった。
この社員さんは本来、別の持ち場担当だけど
人が居ない状況なので仕方なく隔週でここに来ている状況のようだ。

そんなわけで今日は社員さん1人とのツーオペだった。
しっかしこの社員さん、あ~~って感じだ。
大阪出身の人で、隔週社員さんには口調はきついけど気にしない方がいいよと
事前に言われてた。
そう言われててもやはりあ~~っとなってしまう。
オラァァァテメェェェーーーみたいなナニワ風ではないので怖くはないけど
君君、ココ間違ってるけど僕さっき説明しましたよネ。
君の作業の修正が入ると僕の作業が滞ってしまうんですわ。
それやったら居らん方がマシでっしゃろ?
何回も言わへんで、ペラペラペラ・・・と3語も4語も余計に、もう分かりました
スンマセンでしたと土下座したくなるほど、まるで漫才師のように
言葉の連打を畳みかけてきやがる(大阪主観)。


まだ今週1日目・・・だと。

会社カレンダーでは毎週土日が定休日なんだが
上司に来れる?と聞かれたので土曜の今日も出勤した。

今日はネジ回しの他、重い物を運んだり製品の配線を取り付けたりと
初日に比べたら大分仕事したなー感がある。
半年間のダラケきった無職生活を経ての労働。
まだたった3日間とはいえ大分身体に堪えていた。

明日はゆっくり心身を労おう。

入社2日目。

朝一から新任受け入れ講座を2時間ほど受けた後
再び各々持ち場へ。内容は会社での注意事項とか
歴史とかを学ぶもので座学といったらいいか。

その後主に見学、たまにネジとかを数十本回して終わった。
こんなんで金貰えるのか!?と10分毎に思ったが
トヨタの時もこんな感じで仕事してなかったし
今はあまり深く考えずにいよう。

入社初日。

29日の時と同じように、今回も派遣の担当者とまず始めに
提出書類の確認のようなものを行ったが、知らない男の人が2人居て
美人さんと仲良く話しててジェラシーを感じる。

その後、4人で部長さんと顔合わせする事になったが
向こうは各部署の責任者など6人くらい居てビビる。

さらにその後、オリエンテーション(作業時の注意事項などの確認)を受けて
俺たちは各部署へと配属された。
配属先では危険防止訓練?というのをまだ受けていないため、工具すら握らせされず
ただぼーっと作業を見てこの日は終わった。

派遣の職場見学に行ってきた。

待ち合わせ先の、訪問者用の館に入ると派遣の人はもう来てて
テーブル席に促される。
もう一人来るからと言われ5分ほどすると女の人が現れて
隣の席に座った。
わっ美人さん。今回の職場は、まあ安定の工場なんだが
こんな人でも応募するのかあと意外に思った。

2人揃ったところで、派遣の人から今日の流れの説明に入る。
流れと言っても職場見学を受けた後、派遣先の部長さんとの面談というか
顔合わせをして終了という簡単なものだった。
同僚で怖い人いますか?などの質問は向こうの心象を悪くする場合があるので
もっと無難な質問をした方が良いなどのアドバイスもぽちぽちと。

一通り説明を受けた後、見学までちょっと時間があるから
トイレとか行きたければ今のうちにと、派遣の人はトイレに行き
隣の美人さんと二人きりになった。
何か話しかけた方がいいんだろうか?しかし慣れ慣れしい奴だと思われたら嫌だし
第一自分から人に話しかけるのが滅法苦手な俺。
それも女性で美人な人なら尚更の事。
やはりここはクールな距離感を保とうと、腕を組みどっしり椅子にもたれ掛かって
正面を凝視してたら

何処から来られたんですか?

と、美人さんが話しかけてきた。
あ、いや、自分は府中ですはい。そちらは?と聞き返すと
彼女は都心から来たようだ。
今回の勤務地は府中で
、俺はチャリで来たんだが
彼女は電車を乗り継ぎ、はるばる1時間以上も掛けてここまで来たようだ。
東京の就業事情はよく分からないが、23区外から23区内に働きに
出ることはあっても、逆はイメージなかったので感心してしまった。
その後も残業あるんですかねえとか話していく間に気が付くと
腕はほどけ、椅子から滑り落ちるほど腰も砕かれメロメロになっていた。

見学中も派遣先の人がする説明まるで上の空、メロメロ状態だったが
なぜか見学後の予定だった派遣先の部長さんとの面談がなくなり
さらにもう、この場で採用は決まったらしくて8月の頭から出勤となり
トントン拍子の展開に素面に戻る。


帰り道も駅まで美人さんと一緒になったんだが、お互い採用されて良かったですねと話し
とてもゴキゲンな1日だった。

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